May 09, 2009

スポーツクラブに通って運動をしよう

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 ハイエンドGPUの場合、各社のオリジナルクーラーモデルが登場するのは、GPUの発表から数週間後、場合によっては数カ月先のことになる。最新GPUのパフォーマンスをいち早く試したいときは、リファレンスデザインのカードしか選択肢がないということだ。同時に、静音やメーカー標準OCといった付加価値をあきらめることにもなる。また、発売からしばらくしても、リファレンスデザインカードはオリジナルモデルに比べると安価で、コスト面での魅力が大きい。これを理由に、リファレンスデザインのカードを搭載するショップブランドPCも多い。

【GPUクーラーを換装しよう:オーバークロックも静音化も思いのまま「Twin Frozr II」でギュンギュン冷やすぜ 】

 そんなリファレンスデザインカードユーザーの救済策が単体GPUクーラーだ。グラフィックスカードに手を加えることになるためメーカー保証はなくなるが、リファレンスと比べ優れた静音性や冷却性能向上によるOCを狙うことが可能となる。今回紹介するのはそんなGPUクーラーの中でも“本命視”されている、MSIの「Twin Frozr II」だ。

 Twin Frozr IIは、MSI製グラフィックスカードの中でも上位モデルに採用されるクーラーだ。今現在はTwin Frozr IIIを搭載する最新モデルも登場してきているが、極太ヒートパイプとツインファンで構成される基本的な構造は変わらない。2基のファンを搭載することで風量を確保しつつ、各ファン自体を低速で回転させることにより、優れた冷却性能と静音性能を両立するのがコンセプトで、ツインファンクーラーブームの火付け役でもある。ちなみにMSIのラインアップには、ほとんど音がしない「R5770 Hawk」のような極静音カードや、「N580GTX Twin Frozr II OC」のように冷却性能の向上分をオーバークロックに費やすパフォーマンスカードというように、さまざまなバリエーションが並んでいる。

 そしてこのTwin Frozr IIが今回単体販売されることとなった。店頭価格は6000円前後。CPUクーラーに比べると高価ではあるが、ハイエンドGPU向けのGPUクーラーとしてはそれほど高い価格設定ではない。すでにCPUよりも消費電力が大きくなってしまったハイエンドGPUの場合、より高度な技術が必要となる。そして、ユーザー側もOCや静音など絶対効果を狙うこだわり層であって、尖ったモデルが多い。また、換装用のGPUクーラーという市場自体も小さく、そのような中でのこの価格設定は“かなりがんばっている”という印象のほうが強い。

 単体販売版のTwin Frozr IIに対応するGPUは、GeForce GTX 580/570/480/470/465だ(現時点でRadeon HD用製品は登場していないので注意)。ただし、対応GPUであっても、リファレンスデザインカードではない独自のボードレイアウトを採用している場合は、Twin Frozr IIを取り付けできない可能性がある。さらに、ファンコネクタは4ピンとなっているので、これに適合しない場合も取り付けはできない。リファレンスクーラーを採用しながら4ピンファンコネクタではない製品というのはあまり考えられないが、万が一ということもあるので購入前に確認しておくのがよいだろう。

 引き続き実際の製品について見ていこう。MSIが標準搭載するTwin Frozr IIといえば、金属的な質感を持つアルミ製のシルバーや銅製のブロンズが特徴だが、単体販売版のTwin Frozr IIは、ブラックにブラウンのラインというオリジナルカラーを採用している。ヒートパイプは計5本(8ミリ径のものが2本に6ミリ径のものが3本という組み合わせ)で、これはN580GTX Twin Frozr II OCで採用されているものと同じスペックだ。サイズは251.9×100.9×35ミリ。基本的にGeForce GTX 580/480に合わせたサイズとなる。ファンブレードのサイズは直径約8センチ、回転数および動作音はそれぞれ最大回転時で4200rpm、45デシベルとしている。

 このほか、パッケージには固定用ネジ×4本、ワッシャー×4本、グリス、そして紙1枚の取り付けマニュアル(英語と日本語表記のもの)が入っていた。ちなみにマニュアルの内容は、リファレンスクーラーの取り外し方が表に、Twin Frozr IIの取り付け方が裏に記載されている。図解付きで分かりやすいのは当然だが、特殊ネジが使われている場合がある、ブラケットのネジの一部もリファレンスクーラーの固定用に使われている、といった細かなところまで注意が書かれている。

●リファレンスクーラーの取り外しは注意! 一方取り付けは超簡単

 同じMSIのGeForce GTX 470カード「N470GTX-M2D12」を用意した。このN470GTX-M2D12は、GTX 480/470発表当初に発売されたモデルであり、リファレンスデザインに沿った製品となっている。

 マニュアル通りというか、そもそもリファレンスクーラーを外して、Twin Frozr IIを取り付けるという単純な工程なので理解できると思うが、実際にやってみるといくつか注意したほうがよい点が出てきた。

 リファレンスクーラーは、基板裏のネジすべてと、ブラケットと基板を繋ぐ部分のネジ1個、ブラケットのスリットと端子の間にあるネジ2個で固定されている。これをすべて外せばよいわけだが、このネジはかなり小さく、そして一度組み立てた後は緩めることを想定していないため、きつく締められているのはもちろん、ネジ止め剤が使用されていることもある。ネジ山をなめてしまいやすいので慎重にネジを緩めよう。

 また、取り外し方によってはヒートシンクが現れることもある。その際はヒートシンクに触れないように注意しよう。ヒートシンクは薄い金属板で出来ており、下手に触れるとザックリ指を切ることになる。静電防止も兼ねて手袋をして作業できれば安心だ。

 そしてクーラーを取り外す際、GPUとヒートシンクがグリスでガッチリくっついている場合がある。はがす際の力加減にも注意しよう。最もなぜこんな当たり前のことを書くかというと、筆者が実際にネジ山をなめ、ドリルでネジを削るハメにあい、ヒートシンクを取り外す際にザックリ指を切ったからである。これから試すという方がこんなドジを踏まないことを祈る。

 一方で取り付けは超簡単だ。なにせTwin Frozr IIはネジ4本だけで固定する。リファレンスクーラーが20本近い小ネジで固定していたのとは大違いだ。岐阜のアイプリモとの出会いGPU面にグリスを塗ったら、位置合わせをして基板裏からネジ4本を均等に締め上げる。最後にファンケーブルを装着することを忘れなければまず問題なく組み立てられるはずだ。

 なお、Twin Frozr IIはGTX 580や480などもサポートするサイズであるため、GTX 470と組み合わせる場合は基板をはみ出してしまう。はみ出すこと自体は、例えば「N470GTX Twin Frozr II」でも同じだが、単体販売版をGTX 470に組み合わせると、ヒートシンクのサイズに関して言えば、N470GTX Twin Frozr II以上のものを上回るサイズとなる。

 一方、N470GTX Twin Frozr IIとの間にはもう1つ決定的な違いがある。N470GTX Twin Frozr IIにはメモリ用のヒートシンクも搭載されているのだが、単体販売版Twin Frozr IIにはそれがない。メモリのOCも視野に入れる方は、Twin Frozr IIとともにチップ用ヒートシンクや冷却シートなどを検討するとよいだろう。

●リファレンスクーラーより20度冷える! そして静か

 それでは、Twin Frozr IIによってリファレンスデザインカードがどこまで変わるのか、あらかじめ計測しておいたリファレンスデザインカードの性能と比較しながら調査してみよう。

 まずはTwin Frozr IIへ換装した直後、設定はリファレンスから何もいじらない状態での冷却性能を比較してみる。計測時の室温はどちらも27度前後でほぼ同じだ。高いGPU負荷をかけるために3DMark VantageのExtreme設定で、GT1、GT2を実行し、データはGPU-Zのログ機能を用いている。

 その結果だが、GPU温度の最大値、最小値ともに当然Twin Frozr IIのほうが低い。細かく見ると、最大値ではリファレンス対Twin Frozr IIが、89.3度対68度となり21.3度の差、最小値では51.5度対33.8度で17.7度の差となった。

 また、最大値から最小値を引いた温度上昇の幅は、リファレンスが37.8度、Twin Frozr IIが34.2度となった。温度の上昇も抑えられているようだ。さらにこの一連のテストをグラフ化してみると、どうも温度の上昇はリファレンスよりも緩やかな一方、温度の降下はリファレンスよりも急速なラインをとっているように見える。つまり温度が上昇しにくく、冷却は速いというわけだ。

 Twin Frozr IIがリファレンスクーラーと比べて、計測値において優れた性能を見せたわけだが、同時に動作音もかなり静かなことが分かった。ファン回転数を調べてみると、リファレンスクーラーは最大回転数が3300rpm、最少が1600rpmとなったのに対し、Twin Frozr IIは最大1900rpm、最少1600rpm。リファレンスクーラーの3300rpmはかなり耳障りだが、先の温度計測で分かるとおり、90度に達しようかという状態なので当然だろう。

 一方、Twin Frozr IIは70度程度であるからまだGPUのレッドゾーンまで余裕がある。なお、低負荷時は若干リファレンスクーラーのほうが低回転だが、動作音のうえではほとんど変わらず、Twin Frozr IIのファンが2基あるデメリットは感じられない。そして1つ断っておくと、Twin Frozr IIに交換しただけで設定はいじっていないため、ファン回転数はAutoのままだ。つまり定格運用が目的であればAutoのままでもかなりの静音化が期待できることになる。

●リファレンスクーラーとは比べものにならないOC性能

 さて、マニュアルにはこんなことが書かれている。「MSI AfterburnerでのOC実験にもお薦めです」と。Afterburnerは、MSIが提供しているGPU用のモニタリング&オーバークロックツールだ。基本的にMSI製グラフィックスカード購入者なら、同社サイトからダウンロードして利用できる。単体販売版Twin Frozr IIの場合、他社製カードに対する換装もあるため、この点を担当者に確認したところ「Afterburner自体は利用可能でライセンス的な問題はない」とのこと。ただし、利用できる機能に関しては、ベースとなるグラフィックスカードに依存するという。今回用いたN470GTX-M2D12はそもそもGPU電圧の調整にも対応したモデルだが、利用するカードによってはこれができない可能性もあるという点に注意しよう。

 それでは、このAfterburnerを用いて、Twin Frozr II化によるオーバークロック性能を試してみよう。先にAfterburnerの機能を説明しておくと、今回の組み合わせで利用可能な項目は、GPUコア電圧、GPUクロックとシェーダークロック、そしてファン回転数となる。ファン回転数は温度と回転数のXY軸グラフによって柔軟に設定することが可能だ。そこで、ファン設定はまず第1段階として30〜100度の間で30〜70%の回転数に可変する設定を施した。この設定なら普段使いもゲーム中もかなり静かな動作となる。また、計測には3DMark VantageのデフォルトであるPerformance設定を用いている。スコアの推移とともに、どこまでOCできたかを紹介していこう。

 まずリファレンスクーラーの限界を説明しておくと、定格の607MHzに対し、650MHzで早くも3DMarksが下がり、場合によっては完走しない状態になった。スコアが下がるということはつまりGPUが十分に冷やしきれず、クロック調整がかかっていることを示している。今回試した個体に関しては、実質的にオーバークロックの効果が得られるのは640MHzまでとなる。

 一方で、Twin Frozr IIで最初の限界が見えたのは690MHzだった。リファレンスクーラーほど顕著なスコア低下ではないが、若干伸びが鈍化している。ということで680MHzが静音動作での1つの壁となる。なお、それでもリファレンスクーラーのピーク時と比べればまだ静かだ。

 そこで静音性をあきらめ、どこまで回るのかを追求したところ、まず30〜100度で30〜100%(4500rpm)という設定では740MHz、常時100%回転では780MHz、さらにコア電圧を1000mVまで引き上げて800MHzまで記録することができた(810MHzはコア電圧の引き上げでも対処できなかった)。これ以上を目指したいのであれば、リファレンスカードのTwin Frozr II化ではなく、基板設計でも電力設計でもカスタマイズされたTwin Frozr II/III搭載モデルを選ぶ必要がある。

●リファレンスクーラーの動作音に悩まされている人に効果絶大

 以上、静音・冷却性能を実証してきたTwin Frozr IIだが、単体販売モデルでも静かで冷えることが今回テストで確認できた。リファレンスデザインカードの動作音に悩んでいる人は、ひと手間加えるだけで見違えるような静かさが手に入る。オーバークロック性能に関しても、ベースがリファレンスデザインということで6ピン×2基という電力供給面での限界があるものの、それでも十分なパフォーマンスを見せてくれた。

 ただし、MSIによれば今回の単体販売版Twin Frozr IIは「(特に明記してはいないが)数量限定」と考えているとのこと。実際、GPUクーラーを交換するというのはニッチな部類であるし、MSI自体もTwin Frozr IIIへと移行を始めている。リファレンスカードからの換装を検討中の人は早めに入手したほうがよさそうだ。寒すぎる!結婚指輪というヤツが

【石川ひさよし,ITmedia】


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